瀬戸臨海実験所標本のデータベース化

代表研究者     

伊勢戸 徹 (京都大学 フィールド科学教育研究センター 瀬戸臨海実験所 助教)

大和 茂之(同実験所 助教)伊勢戸の異動に伴い課題の後半から代表を交代

京都大学瀬戸臨海実験所には海産無脊椎動物に関する長い研究の歴史があり、歴代所員の分類学者らの活動によって多数の貴重な標本が所蔵されている。これら の標本群は、分類学的な価値が高く、当実験所としても標本調査や貸与の依頼に対応し、学問の発展に少なからず寄与してきた。これらは、海産無脊椎動物の中 でも、他機関で扱われることがほとんど無い分類群を多く含むため、単純な標本数だけでは表せない価値を持つことも大きな特徴となっている。
 一方、これらとは別に、やはり歴代所員によって蓄積されたさまざまな分類群に対する標本群もあり、これらは白浜という一地域の生物相に対するまとまった 標本群として大変価値が高い。しかし、これらはリスト化されていないため現在ではほとんど利用されることなく“埋もれた宝物”となっている。また、イシサ ンゴ類約500個の骨格標本が、それぞれに対応した(同一群体の)DNA抽出用標本と同時に保存されており、これらは研究資源として特に高い価値を持って いる。また、国際的な沿岸域生物相調査プロジェクトであるNaGISAプロジェクトで採集される標本が随時追加されているが、これは国内外の実に多様な生 物群を含む大変価値のあるものである。