内肛動物 Phylum Entoprocta
私が専門にしている内肛動物門に関する情報を、少しずつにはなりますが、まとめていきたいと思います。
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参考になる文献
総説など、この分類群の概要を知るために役立つと思われる文献を挙げておきます。
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Iseto, T. (2017). Review of the studies of Japanese entoprocts (Entoprocta). In Species Diversity of Animals in
Japan (pp. 445-467). Springer, Tokyo. [DOI]
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- 日本の内肛動物研究のレビュー。日本産種のリストあり(単体性+群体性)。日本産単体種の情報は伊勢戸の専門なので当然に整理されているが、日本から報告された群体種が何種なのか、シノニム関係を含めて初めて整理された(←重要)。
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Fuchs J., Iseto T., Hirose M., Sundberg P., Obst M. (2010) The first internal molecular phylogeny of the animal
phylum Entoprocta (Kamptozoa). Molecular Phylogenetics and Evolution, vol. 56, pp. 370–379.
[DOI]
- はじめて内肛動物門の内部の分子系統学的な解析をした論文。ただ、Loxokalypodidae(群体種だが、各個虫は単体種の性質を持つ)のサンプルが得られていないので、単体種と群体種がキレイに2系統(Solitaria/Coloniales)に分かれるのかどうか、重要なところが見えていない。
- Nielsen C. (2010) A review of the taxa of solitary entoprocts (Loxosomatidae). Zootaxa vol. 2395: 45–56.
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- 単体性内肛動物のレビュー。学名リストと各種のタイプ標本の所在が分かる範囲でまとめられている。シノニムリストはない。
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Iseto T. (2005) A review of non-commensal loxosomatids: Collection,culture, and taxonomy, with new implications to
the benefit of commensalism (Entoprocta: Loxosomatidae). In:Moyano HI, Cancino JM, Wyse Jackson PN, editors. Bryozoan Studies 2004. London: Taylor & Francis Group, pp.
133–140.
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単体性内肛動物は基本的に他動物に付着して生活する共生性の群だとされてきたが、伊勢戸が非共生性種を多く存在することを示した。この論文はその非共生性種の情報をまとめたもの。共生の利点についても既知の情報をまとめ、考察されている。
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単体性内肛動物は基本的に他動物に付着して生活する共生性の群だとされてきたが、伊勢戸が非共生性種を多く存在することを示した。この論文はその非共生性種の情報をまとめたもの。共生の利点についても既知の情報をまとめ、考察されている。
- Wood, T. S. (2005). Loxosomatoides sirindhornae, new species, a freshwater kamptozoan from Thailand (Entoprocta). Hydrobiologia, 544, 27-31.
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- Urnatella gracilis (シマミズウドンゲ)に次ぐ、世界で2種目の淡水産内肛動物の報告(新種記載)。群体性である。タイのMae Khlong川に沈められたナイロンロープ、腐った竹、生きた二枚貝の殻から見つかった。完全な淡水から見つかったもので、1.0 pptより高い塩分では生きれれないことも実験によって示されている。UrnatellaとLoxosomatoidesは群体性の属の中でも形態的にかなり異なるので、それぞれが独自に淡水環境に適用したことは明らかだと思われる。
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Wasson K. (2002) A review of the invertebrate phylum Kamptozoa (Entoprocta) and synopses of kamptozoan diversity in
Australia and New Zealand. Transactions of the Royal Society of South Australia, vol. 126, pp. 1-20.
- 文字通りの内肛動物門の総説。幅広い内容が簡潔に書かれているのでとても参考になる。Wasson女史は群体性内肛動物の研究者であったが、この総説を出した上で内肛動物の研究から離れてしまった。これにより、群体性内肛動物の専門家が世界から1人もいなくなってしまった(2023年現在継続中…)。これは大きな問題。
- Emschermann P. (1972) Loxokalypus socialis gen. et sp. nov. (Kamptozoa, Loxokalypodidae fam. nov.), ein neuer Kamptozoentyp aus dem nordlichen Pazifischen Ozean. Ein Vorschlag zur Neufassung der Kamptozoensystematik. Marine Biology, vol. 12, pp. 237-254.
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- 単体種と群体種の中間的な性質を持つ種を記載したもの。本種は群体を形成するが、各個虫が単体種の特徴をもつ。Loxokalypodidaeを設立するとともに、内肛動物門をOrder SolitariaとOrder Colonialesに二分する体系が提唱されている。ただし、この体系はNielsenやIsetoには採用されていない。